商売と公共性 2009 7 26

 本当は、20世紀末に、住宅政策を転換させるべきだったのです。
「新築住宅重視の市場」から「中古住宅市場の充実へ」と。
(住宅産業においても、構造改革が必要だった)
 しかし、政府は、相変わらず、
「住宅政策とは、景気対策」と考えていましたから、
日本の住宅は、新築市場が中心で、
「作っては壊し、作っては壊し」を繰り返し、
伝統的な街並みは皆無になってしまったのです。
 商売と公共性というテーマは、抽象的でわかりにくいので、
以下の文章では、カメラで、このテーマを説明しています。
 カメラは消耗品かもしれませんが、住宅も消耗品か。
いや、住宅は、公共財ではないのか。

商売と公共性 2005 12 2
 現代においては、商売と公共性というテーマは、
難しいかもしれません。
言い換えれば、民間と役所というテーマになるかもしれません。
 私の愛用のカメラは、オリンパスOM-1というカメラです。
当時(今から30年近く前)、ベストセラーだったOM-1も、
今は、知る人も少ないかもしれませんが、
いまだに、現役で使っているのです。
このカメラは、電子的な機能が、ほとんどなく、
機械式のカメラと言えるでしょう。
だから、ほとんど故障がなく、
手入れをすれば、何十年も使えるかもしれません。
 しかし、これが、カメラメーカーにとって、命取りになるです。
何十年も使えるカメラを作ってしまったら、
何十年もカメラが売れないでしょう。
つまり、買い換えは、何十年も先になるでしょう。
これでは、カメラメーカーは、食べていけません。
 せめて、10年ぐらいで老朽化し、買い換えが起きるカメラの方が、
カメラメーカーにとって、経営上、望ましいと言えるでしょう。
 日本のカメラメーカーは、滅多に故障しないカメラを作った結果、
カメラでは食べていけず、
医療機器や半導体機器、あるいは事務機器という分野に進出して、
食べていくようになったのです。
 最近(2005年当時)、ニュースで、
日本の住宅の品質が、話題になっています。
もし、100年も耐久性がある住宅を作ったら、
住宅産業は、食べていけなくなるでしょう。
30年ぐらいで老朽化する住宅の方が、
住宅産業にとって、経営上、好ましいかもしれません。
消費者も、木造住宅だから、30年ぐらいで老朽化しても、
あきらめがつくかもしれません。
 しかし、ここに、商業主義があると思います。
たとえ、木造でも、100年でも200年でも、耐久性があるのです。
それは、京都や奈良に行けば、わかるでしょう。
とてつもなく古い「木造の建物」が、たくさんあることに気づくでしょう。
 100年も耐久性がある住宅を作ってしまったら、
住宅産業は、ほとんど倒産してしまうかもしれません。
人口増加社会ならば、人口が増えていきますので、
100年住宅でも、商売上成り立ちますが、
人口減少社会になると、100年住宅を作ってしまうと、
商売上、苦しくなるでしょう。
 100年建造物や200年建造物は、商業的には、無理か。
年末が近くなって配布された、古都がテーマのカレンダーを見て、そう思います。
 住宅は、社会にとって、公共財ではないのか。
商業的に考えれば、住宅は、消耗品と考えるべきなのか。
 しかし、それでは、あまりに寂しい。
もう日本には、古くても伝統のある街並みは、不要なのか。
















































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